ソクラテスへの弁明、デカルトからの懐疑
〜医学の成果をいかに社会実相しうるのか?〜
人類は知識の不足によって危機に陥るのではない。
知識を社会の利益へと転換できないことによって危機に陥るのである。
COVID-19パンデミックは、そのことを我々に痛烈に教えました。科学は感染症の実態を解明し、ワクチンや治療法を生み出し、多くの知見を社会へ提供しました。しかし、その成果が人々に理解され、制度として実装され、社会全体の行動へと結びつく過程は決して容易ではありませんでした。
我々が直面している問題は、知識の不足ではなく、知識の社会実相の困難さにあります。
日本危機管理医学会は、医学とは病気を治療する技術である前に、人類が直面する危機を軽減する方法論であるとの考えのもと設立されました。感染症、災害、救急医療、人口減少社会、技術革新に伴う新たなリスクなど、現代社会が抱える多様な危機に対し、医学のみならず法学、経済学、行政学、情報科学など幅広い領域の知を結集し、その軽減と克服の方法を探究することを目的としております。
2025年に福岡で開催した第1回学術集会では、「我々はサピエンスたりうるのか?」をテーマに掲げ、人類社会が直面する危機とその克服の可能性について議論いたしました。続く第2回学術集会では、「科学の果実、法の正義、そして選択の合理性」をテーマに、多様な専門領域の研究者や実務家が集い、科学的知見を社会の利益へと結びつけるための条件について活発な討議を行いました。そして第3回学術集会では、「ソクラテスへの弁明、デカルトからの懐疑 ― 医学の成果をいかに社会実相しうるのか? ―」をテーマとして掲げます。
なぜ正しい知識が社会に受け入れられないのか。なぜ合理的な選択がなされないのか。我々は何を知り、何を疑い、そして何を社会へ伝えるべきなのか。ソクラテスの問いとデカルトの懐疑に立ち返りながら、医学のみならず、法学、経済学、行政学、情報科学、哲学など多様な領域の専門家が集い、人類社会が直面する危機に対して、より実効性のある解決策を探究したいと考えております。
本学会は、単なる学術発表の場ではありません。知を社会実相へと転換するための実践的な対話の場でありたいと願っています。
つきましては、本学会の趣旨にご賛同いただき、本学術集会の開催に格別のご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。皆様からのご支援は、学会の独立した学術活動を支える礎となり、次世代への知の継承と社会実相へとつながってまいります。
第3回総会・学術集会
福岡県メディカルセンター
医療福祉研究機構 主席研究員